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2025第72回マカオグランプリFIA-F4ワールドカップレポート:11月16日

 11月16日日曜。長かったレースウィークもいよいよ最終日を迎え、第72回マカオグランプリは各カテゴリーともにファイナルレースの日を迎えた。
 前日同様、この日も朝から快晴となったマカオだが、前日の予選レースよりも2時間程度早いスタートということで、FIA-F4ワールドカップは気温24℃と比較的涼しいコンデイションの中でのコースインとなった。



 昨日の予選レースでは1周目の混乱の中で接触があり、ダメージを負ったマシンながら無事8位フィニッシュを飾った佐藤樹。この日は残していたニュータイヤを履き、前後ウイングを削ってグリッドに向かうこととなったが、グリッドへの試走の段階でフィーリングも良く、十分なグリップ感も得られており、8番手でスタートする決勝に向けて大きく期待が膨らんだ。


 グリッド上を見渡せば、昨日の予選レースでクラッシュ等で潰れた速いマシンたちが大きくダウンフォースを減らして後方からの追い上げを期する一方、前方グリッドのドライバーはかなりダンフォースがついたセットアップを選択しており、決勝レース中の大きな順位変動が予想される中、午前9時15分にフォーメーションラップが開始された。



 そして1周の後、全車がグリッドにつきレッドシグナルが消灯。午前9時19分に全車いっせいにスタートを切ったが、佐藤樹はうまくスタートを決め、ポジションキープのまま前の車両の背後にピタリとつけながら1コーナーをクリア、そしてマンダリンオリエンタルベンドへ向かう。
 このままいけばリスボアでオーバーテイクが可能になるのでは、という位置関係でマンダリンを立ち上がったところで、佐藤樹の左前方にいたマシンが大外のラインをリスキーに攻めたものの、オーバースピードでアウト側の壁にクラッシュ。コントロールを失ったその車両が、あろうことに佐藤樹の目前に跳ね返ってきてしまい、左リヤにヒット。左リヤサスペンションに大きなダメージを受けた佐藤樹の車両は、スピン状態となってイン側のガードレールにクラッシュしてしまう。



 まさに好事魔多しというしかないが、佐藤樹は落ち着いてマージンを取ったラインを選択していたものの、このようなハイスピードコーナーの立ち上がりでは飛んでくる車両を避け切ることはできず、ドライバーに大きな怪我がなかったことが不幸中の幸いながら、大きな悔いの残る、あまりにも短い決勝レースとなってしまった。
 ここまで大きなミス、クラッシュもなく、着実に進歩を見せていた佐藤樹だけに、この決勝レースでの集大成が期待される中で、他車に巻き込まれての0周リタイアは無念というほかはないが、このマカオでは常に起こりうるアクシデントではあった。


 レース後、悔しさを露わにした佐藤樹だったが、初の世界戦、初の市街地レースでの貴重な経験を経て、来季以降のさらなる飛躍を期待したい。

 なお、後方からの追い上げが期待された中村紀庵ベルタはマシントラブルのためにセーフティーカーラン中の序盤にピットイン、修復を受けて2周遅れながらもコース復帰を果たし14番手でチェッカーも完走扱いにはならず。
 一方、11番グリッドからスタートした佐藤凛太郎は、1周目のアクシデントを回避し、一気に6番手までポジションを上げると、リスタート直後に5番手に浮上。さらに8周目に海側でスリップを活かして4番手にポジションを上げると、直後に2番手を走行していた車両が山側でクラッシュ。これによりセーフティーカーが導入されたが、リスタートされぬままレースはファイナルラップを迎え、見事11番手からの逆転で表彰台を獲得、日の丸を掲げることとなった。







佐藤樹コメント:

「決勝に向けてクルマの方向性をかなり変えていったんですが、サイティングラップやグリッドへの試走でのフィーリングが凄く良くて。ピットを出ていって、リスボアを曲がっていくフィーリングも、もう既に今週で一番の状態だなと感じられていたので、これならいける! と思ってスタートを迎えました。


 シグナルが消えて、スタートがうまく決まって前に迫って行けていたので、これならリスボアまでに抜けるんじゃないかと思っていたんですが、前にいたドライバーがアウト側に突っ込んでいって、壁に当たって跳ね返ってきてしまって。それを避けることができずに終わってしまいました。

 本当に悔しいですし、止まった直後気づいたらヘルメットの中で叫んでしまったくらいでしたが、とにかくフィーリングが良かっただけにもっと走りたかった、というのが一番です。マンダリンに向けていい位置を取れていて、前で当たったのが見えたので、コースの中央付近までは避けられたんですが、あれ以上は無理でした。


 今週末を振り返ると、走り出しからコースにも衝撃を受けましたが、周囲のドライバーのいきなりの攻め方にも驚きましたし、すごく勉強になりました。やはりFP1であれだけいけると、週末を通じて凄く効率よくセットアップを進めていけるのだと痛感しました。マシンを良い状態に持っていくまでが早いのですが、僕は逆に色々な要因もあって後手後手になってしまったなと思いました。予選でタイヤが発動しなかったことも、今思えば悔しいですが、タラレバです。本当に多くのことを学べました。この機会を与えていただけたこと、支えていただいた方々に感謝しています。

 来年のことはまだ何も決まっていませんが、今週経験できたことは、また来年以降の国内のレースにも絶対に役立つと思います。あとは……、やっぱりもう1回、マカオにリベンジしに来たいですね」



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