
11月14日、走行2日目を向けた第72回マカオグランプリ。前夜に雨が降ったことから、朝のギヤサーキットはところどころにウェットパッチが残るダンプコンディション。このため、午前7時45分から予定されていた2輪の予選は安全面を考慮してキャンセルとなり、午前9時15分からのFIA-F4ワールドカップのフリープラクティス2が最初の走行となった。

日本から参戦の佐藤樹は、FP1では12番手。リスボアで軽くタイヤバリアに接触するミスはあったものの、大きなアクシデントもなく順調な滑り出しとなったが、エンジニアとのミーティングの結果、このFP2に向けてはセッティング変更はせず、ドライバーの自信獲得とコース、タイヤ習熟に充当することをターゲットとして臨むことに。
加えて、ダンプコンディションという路面状況を受け、走行直前に担当エンジニアからは序盤ブレーキングで無理をしないように、特に日陰が多い山側のセクターに注意するように、とのアドバイスが出された。
昨日履いていたセット1のドライタイヤを履き、FP2のセッション開始と同時にコースインした佐藤樹は、濡れた路面とブレーキングポイントの確認などを行いつつ、まずは慎重に走行。それでも、昨日のFP1を経て、このギアサーキットでの走行リズムができつつあることもあり、計測1周目には2分33秒189でモニターの3番手に。

そこから周囲のドライバーもタイムアップしていき、計測2周目には2分31秒661にタイムを上げた佐藤樹だが、ポジションは10番手に後退する。続く計測4周目には、セクター1からセクター3まで自己ベストを更新していった佐藤樹だったが、ここで他車がバリアにクラッシュしてしまい、赤旗となってしまう。
このためピットに戻った佐藤樹は、午前9時31分、残り24分で再開されると再びコースに戻ったが、直後に山側で再び他車がクラッシュ。2度目の赤旗中断となり、再び全車ピットインを強いられる。
セッションは残り14分で午前9時41分に再開されるが、ここからようやく連続での周回が始まり、佐藤樹は7周目に2分29秒266、8周目に2分27秒855、9周目に2分26秒898、10周目に2分26秒525、さらに11周目に2分26秒354と、細かいミスなどはありつつも、周回ごとに自己ベストを更新。トップからは2.0秒差の11番手で無事FP2を走り切ることとなった。
午前のFP2で市街地ギアサーキットでのドライビングリズムを掴むことに成功した佐藤樹は、いよいよ午後1時30分からの公式予選を迎えた。
朝のダンプコンディションからFRやTCRなどのセッションを経て、路面は完全なドライに転じ、路面温度も20℃近く上昇する中、全車ニュータイヤを装着してのアタックが開始された。

セッション開始から、佐藤樹は精力的に周回を重ねるが、3周目2分28秒474、4周目2分27秒432、5周目2分26秒674とタイムを詰めていくものの、今ひとつフィーリングは良くなく、ポジションは10〜14番手あたりに止まる。すると、山側のセクター4でバリアにヒットしストップした車両があり、セッションは赤旗に。
セッション再開は13時50分ながら、予選では時計が止まるため残り時間は24分26秒。ここからさらなるタイムアップに期待がかかったものの、今度は午後1時54分にリスボアでバリアにヒットした車両があり、早々に2度目の赤旗中断となってしまう。
そして迎えた午後2時丁度の再開時点で、残り時間は20分18秒。再びコースに向かった佐藤樹は、10周目に2分26秒475とすると、12周目には2分26秒355とじりじりとベストタイムを更新するものの、FP2のタイムから大きくゲインすることは叶わず。
すると、再びリスボアで他車との接触からバリアにクラッシュした車両が発生したことで、このセッション3度目の赤旗に。
セッションは残り9分02秒で午後2時29分に再開されたものの、タイヤに熱が入って来たところで、佐藤凛太郎がフィッシャーマンズベンドでクラッシュを喫したことで4度目の赤旗に。この時点で残り時間が3分39秒であったことから、セッションは再開されることなく終了。
残念ながら佐藤樹の予選は14番手と、不完全燃焼なものとなってしまった。
FIA-F4ワールドカップは、明日は午前11時40分から8周の予選レースが行われる予定だ。
「FP2はダンプコンディションでしたので、かなり難しいセッションになるなと思っていました。予想通り、序盤は濡れているところも多かったですし、かなりダスティな感じもあったのですが、昨日から比べるとかなりポジティブなフィーリングで走ることができました。ブレーキングでもかなり自信を持って昨日よりも詰めていくことができていましたし、かなり改善された感覚がありました。
まだまだプッシュできるところはありましたが、こことここを詰めればタイムはもっと上げられるな、と思えましたし、ドライビングの面でも予選に向けてかなりポジティブな印象を持って終わることができました。
予選に向けては、FP2でもまだ高速コーナーを中心にアンダーステアがあったので、エンジニアと相談して前後のウイングとフロントのスタビのセッティングを変更して行ったのですが、そこがうまく機能してくれればシングルで戦えるのでは、という感覚を持ってアタックに向かったのですが、なぜかタイヤが全然発動しない感じでグリップ感がなく、セット変更の効果も感じられなかったですし、想像していたようなパフォーマンスがありませんでした。ドライビングで改善できるところはまだまだあると思いますが、残念な結果でしたね。
とても悔しいのですが、明日の予選レースが14番手スタートということで、スタート直後等に一番荒れる位置だと思います。とにかく日曜の決勝に向けて、生き残って少しでもポジションを上げていければと思います。」


