2015年に坪井翔、牧野任祐の激闘で幕をあけたFIA-F4選手権も、今年2024年に10周年を迎えることとなった。
日本のモータースポーツの明日を担う若手育成を第一義に掲げ、モータースポーツの甲子園との異名をとるこのシリーズの10年の歩みは、今やF1で大活躍している角田裕毅やF2、WECに羽ばたいた宮田莉朋らを筆頭に、国内トップカテゴリーを戦うドライバーの半数近くが、このFIA-F4選手権卒業生という状況が、大きな実績として物語っているといえるだろう。
記念すべき10周年の節目となる2024年に、FIA-F4選手権は大きな転換期を迎えることとなった。
そのひとつが9年間使用してきたワンメイクシャシー童夢F110から、東レ・カーボンマジック製のMCS4-24への車両のスイッチ。FIAの車両規定の変更に伴い、HALOの装備など安全性の向上が図られた「第2世代車両」であるMCS4-24が今季から導入となり、併せてエンジンもTOM’Sが開発したTMA43エンジンに変更されるなど、ハードウェアが一新された。これにより、これまで各陣営が収集してきたデータがリセットされることで、より混戦模様となることが想定されている。
そしてもうひとつが2クラス制の導入である。これまで、ジェントルマンドライバーたちを対象にプロモーターであるGTAが「インディペンデントカップ」を設定し、独自に表彰を行なってきたが、若手ドライバーに負けじとジェントルマンドライバーたちが好レースを展開してきたことも影響してか、昨今は参加台数も増加。これを受けて、今季正式に「インディペンデントクラス」としてJAF地方選手権の対象となった。
そのため、今季からFIA-F4選手権は若手中心の「チャンピオンクラス」と、ジェントルマン対象の「インディペンデントクラス」の2クラスでタイトルが争われることとなったのだ。
参加ドライバーに目を転じれば、まずチャンピオンクラスでは優勝経験を持つ野村勇斗や卜部和久、表彰台経験を持つ佐野雄城、大宮賢人、森山冬星らを中心に注目のドライバーが目白押し。
新設のインディペンデントクラスでも仲尾恵史、植田正幸、DRAGON、齋藤真紀雄らはもちろん、100戦を超えるキャリアをさらに伸ばしているYUGO、大阪八郎も虎視眈々、初代のインディペンデントクラス王座を狙っているという目が離せない状況。
このように、文字通り装いも新たに今季「第2章」を迎えるFIA-F4選手権。今年もGWの富士大会を皮切りに、全7大会・14戦が予定されているが、毎戦毎戦、これまで以上に手に汗握る激闘が展開されることだろう。