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2025第72回マカオグランプリFIA-F4ワールドカップレポート:11月15日

 昨日の公式予選から一夜明け、11月15日土曜のマカオは朝から眩しい日差しに包まれ、肌寒かったこの数日から一転、やっといつもの“マカオらしい陽気”となった。

 前日の公式予選では、思うようなフィーリングが得られず予選14番手に終わった佐藤樹だが、この日の予選レースで巻き返すことができれば、明日の決勝での上位入賞も視野に入ってくるだけに、高いモチベーションを持ってこの日を迎えることとなったが、前日のフィーリング不調についてはイニシャルのタイヤ内圧が低かったために十分にタイヤが発動しなかったことが大きな要因と考えられたことから、昨日の公式予選からはセットアップ変更はせず、この予選レースで前日のセット変更の効果を再検証しつつ、決勝に向けての生き残りを期する形となった。


 午前11時40分、予選レースのコースインが開始されると、佐藤樹もコースへ。この大会、タイヤは1台あたり3セット使用できる規則だが、何台かニュータイヤを投入する車両もあったものの、佐藤樹は明日の決勝にニュータイヤを温存し昨日予選で使用したユーズドタイヤでコースイン。サイティングラップでブレーキ、タイヤを温めつつフィーリング確認を行うと、ピット出口でスタート練習もこなし、準備万端で14番グリッドへ向かった。



 8周で争われるこの予選レースは、午前11時54分にレッドシグナルが消えてスタート。

 まずまずの動きだしを見せた佐藤樹は、上位陣に続いて1コーナーからマンダリンオリエンタルベンド、そしてリスボアへ向かう間に2〜3台のマシンをパス。良い流れのままリスボアへアプローチしたが、ここで2番手争いをしていたセバスチャン・ウェルダンと中村紀庵ベルタの2台が絡んでタイヤバリアへクラッシュ。この影響で、佐藤樹のいたイン側へマシンが集まる格好となり、佐藤樹はブレーキングで前車に詰まり、左フロントをヒットしてしまう。


 フロントウイング翼端版が曲がり、さらに左フロントタイヤがリム落ちしかけるなどのダメージを負った佐藤樹だったが、なんとか走行を続行。せっかく挽回したポジションを吐き出し、最後尾から2番目に後退となったものの、その周の山側、モーリッシュヒルでトーマス・ベアマンとティアゴ・ゴロフコ・ロドリゲスの2台が絡んでストップ。その結果、すぐさまセーフティーカーが導入されることとなる。

 エマニュエル・オリビエリを先頭に、フィオン・マクラフリン、そして佐藤凛太郎が2〜3番手に続くセーフティーカー先導の隊列で、佐藤樹は1周目を13番手で終える。
 2箇所での車両回収のため、セーフティーカーランは3周終了時まで続き、リスタートは4周目からとなったが、佐藤樹は左フロントの大きな振動を抱えながらもピットインせずそのままリスタート。リスタートの周にリスボアまでに2台をかわし、佐藤樹は11番手にポジションアップを果たす。



 さらに翌5周目に山側で1台がストップし、佐藤樹は労せずしてトップ10に。しかし、激しい振動で全開で攻めることはできず、さらにリスタートの際に前方集団と大きく離れてしまったこともあり、佐藤樹は10番手をキープしつつ周回を重ねることに。


 そして迎えた最終ラップ、2番手につけていたマクラフリンがメルコヘアピンイン側の壁に右リヤをヒットさせてしまい、立ち上がりでマシンを止めてしまう。これにより、最後にひとつポジションを上げた佐藤樹は、しぶとく生き残って9位でのチェッカーとなった。
  これで10周で行われる明日の決勝レースに向け、佐藤樹はなんとかシングルグリッドを確保することに成功。また、佐藤凛太郎は見事3位でフィニッシュを飾り暫定表彰台に立ったものの、フォーメーションスタート時にウェルドンが大きく出遅れた影響を受けて出遅れたものの、第1セーフティーカーラインまでに自己のグリッド位置に戻らなかったとしてレース後30秒加算のペナルティを受け11位に降格となってしまい、佐藤樹がひとつ繰り上がって8位となった。
 1周目にクラッシュを喫した中村紀庵ベルタを含め、日本勢にとっては予想外の結果ながら、ともに明日の決勝での躍進を期待したい。


 いよいよ明日最終日、FIA-F4ワールドカップは午前9時15分から10周の決勝ファイナルレースが行われる予定となっている。





佐藤樹コメント:

「スタートはすごく良かったわけではないですがまずまず悪くはなくて、リスボアまでに3台くらい抜くことができました。で、リスボアへのアプローチもリスクの少ないイン側を取れていたので位置取りは良かったんですが、かなり手前からブレーキングしていったものの、それでも前が想像以上に詰まっていて、前のクルマを避けきれずにイン側の縁石に乗って左フロントが前車に接触してしまいました。


 その影響でフロントウイングに少しダメージを受けたのと、左フロントタイヤがリムから落ちかけてしまって、ものすごい振動で。そのせいかかなりのアンダーステアでペースも上げられなかったですし、いつバーストするかわからなかったのでピットに入ろうかとも思うくらいでしたが、なんとか生き残ろうと。その結果として明日の決勝に向けて順位を上げてフィニッシュできたので良かったです。

 タイヤの振動などがあったので、クルマのフィーリングは完全には把握できなかったものの、昨日の予選で失敗してしまったところは改善されているように感じました。普通の状態でちゃんと走れば、かなりいけそうだなと。明日に向けてその点はすごくポジティブにとらえています。


 初めてのマカオでのレースでしたが、1周目からどこでもクラッシュが起こり得るような感じで、常に警戒しながらも行くところは行かなきゃいけないという、そのバランスが難しいなと思いました。しかし、明日はトップ10圏内と前からスタートできるので、できる限りポジションを上げて帰って来られるよう、さらにプッシュしていきたいと思います」



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